No.12(ヘレニズム時代) :
「ヘレニズム時代の哲学の特色と時代背景とは何か?」
ヘレニズム時代の哲学は世界・宇宙観と個人の幸福論を大切にした。ストア派と
エピクロス派があり,前者は心の平静(アパテイア)を真の幸福とし,それに到
る手段として禁欲主義を,後者は心の平穏(アタラクシア)のために精神的快楽
主義を主張した。また,ストア派はローマでも流行している。これらの背景には,
ポリス共同体の崩壊とアレクサンドロス帝国の成立による,マクロ的な世界市民
主義とミクロ的な個人主義への傾きがあった。
<評価の観点>
関心・意欲・態度:
ポリス市民共同体が崩壊したことにより,「世界か個人か」という両極端を特徴と
するヘレニズム期の哲学について,現代の国家・国際社会・個人の関係について考
える材料にしつつ,意欲的に学習に臨んでいる。
思考・判断:
ポリス時代の哲学で盛んだった国家論は影が薄くなり,ヘレニズム時代の哲学では
世界観や幸福論が強まることについて,それぞれの時代の特色を踏まえつつ考察し
ている。
資料活用の技能・表現:
調和と均整を重視するポリス時代と,躍動的なヘレニズム時代の美術作品を写真資
料で比較することで,哲学の違いにもつながるそれぞれの時代が醸し出す雰囲気の
差を実感できている。
知識・理解:
ヘレニズム時代の哲学の特色とその時代背景について,基本的な知識を身につけて
いる。